iPhony:信頼性を取り戻すチャンスだったかも・・・

Iphone Credit

iPhone の早期購入者に対する 100 ドルクレジットの詳細が発表された。

今回の大幅値下げをめぐる騒ぎについて Harvard Business Online が興味深い指摘をしている。

Harvard Business Online: “Apple’s ‘Phony’ Reaction to iPhone Customers” by Joseph Pine and James Gilmore: 10 September 2007

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違う考え方をすべきだった

最近 Steve Jobs は iPhone の値段を 399 ドルに値下げすると発表したが、その直後消費者から多数の苦情をもらって、iPhone を買ったすべてのひとに(値下げの半額に相当する)100 ドルを払い戻すことにした。・・・で、その後大騒ぎになった。アップルとしては違う考え方をすべきだったと思う。

So Steve Jobs recently announced that Apple is reducing the price of the iPhone to $399. And shortly thereafter, following many consumer complaints, Apple offered to refund $100 — half the amount of the price reduction — to everyone who bought the phone (and all the hype) right out of the gate. Maybe Apple should have thought differently about this one.

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アップルの信頼性にかかわる問題だ

ここで問題にしているのは、料金値下げによる需要・供給の直接的効果ではない。信頼性がどう受け取られるかということにも影響してくる問題なのだ。近々刊行予定の「Authenticity: What Consumers Really Want」の中で、我々はアップルを「真の信頼性」(original authenticity)のお手本として取り上げた。アップルがデザインするものならほとんどすべて、ゴージャスなコンピュータからカッコいい iPod、アップルストアでの体験にいたるまで、それは顧客の発見のよろこびと自己探求を刺激するように計算されている。しかしながら今回の料金値下げの決定と、それに対する iPhone の早期購入者の反応が示すところを見ると、そういうすばらしいコンセプトが損なわれる方向に働いている。それは明らかにデザインのユニークさを信じた多くの大衆に罰を与えたものだ。iPhone は他の電話となんら異なる商品ではなく、それをデザインしたものにとっても一般商品より高い価格設定をするだけのオリジナリティーがあるといえないといっているようなものだ。我々の考える真のアップルは、それよりもっとずっといいはずではないか。

The immediate effect on supply-and-demand is not the only issue at stake when it comes to this (or any other) price-cutting decision: it also impacts the perception of authenticity. In our forthcoming book, Authenticity: What Consumers Really Want, we treat Apple as an exemplar of what we call “original authenticity.” Almost everything Apple designs — from its gorgeous computers and sleek iPods to its retail experiences — seeks to stimulate in customers a sense of discovery and self-exploration. But what this decision seems to do — and what the reaction from early iPhone adopters bears out — is lessen the originality of the concept. It’s clearly a swing for the masses, leaving behind those who saw themselves in the uniqueness of the design. It says the iPhone is a commodity like any other phone, not original enough even in its own designer’s eyes to maintain a premium price. We thought the real Apple was better than that.

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iPhony

Jobs が「これはテクノロジーの世界ではよくあることだ」と述べたのはいささか不誠実だった。ノーだ、そんな急激な値下げは極めて異常であり、やけくその行為だ。もしかしたら iPhone は、アップルがいうような画期的な発明ではなく、インチキ(iPhony)[注:phony インチキ、まがい物からの造語]なのではないか。ここには全てのビジネスが学ぶべき教訓がある。長い間かかって築き上げてきたブランドやビジネスの信頼性を短期の収益が増えるからといって犠牲にしてはならない。今後の長期にわたる収益がかかっているのだから・・・

Jobs is being a bit disingenuous when he says, “This is life in the technology lane.” No, such an immediate price decrease is highly unusual, smacking of desperation. Perhaps the iPhone isn’t really the original breakthrough that Apple says it is — but an iPhony! In this lies a lesson for all businesses: don’t sacrifice long-term authenticity of your brand or your business for short-term revenue gain, as sustaining revenue over time hangs in the balance.

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もうひとつのシナリオ:違う考え方

この値下げの発表は、アップルに対する消費者の信頼を増すような方向で行なうこともできた。まず、過去の購入者に対しては値下げの発表と同時に全額払い戻しがなされるべきだった。すべての過去の購入について払い戻せといっているわけではない。200 ドル以上の差額が生じた場合でいいのだ。そういうやり方なら真のアップルにふさわしいし、iPhone を最初に手に入れるために行列した購入者に対しても真に報いることになっただろう。そうしておれば、似た者ぞろいで代わり映えのしないテクノロジーの世界で、ひとと違った、オリジナルな考え方の守護者としてアップルの立場を強化することにもなっただろう。

Of course, such a price-reduction announcement could have been used to further render the authenticity of Apple in the eyes of consumers. First, refunds for past purchases should have been offered simultaneously with the announcement. Not just for the full refund for past purchases, but for more than the $200 difference. That would have been true to Apple and a real reward to those who stood in line to be one of the iPhone’s first buyers. And it would have solidified Apple’s positioning as the purveyor of different, original thought in a technological sea of sameness.

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「テクノロジーの世界ではよくあること」ということばが Jobs の口から出たと聞いて、正直いってガッカリしたものだ。

ハーバードのビジネスの専門家も、醒めた目で今回の騒ぎを見ていたということだろう。

そんな思惑とは関係なしに、アップルの商品購入に向けられる 100 ドルクレジットはいよいよ配られることになった・・・

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コメント / トラックバック2件 to “iPhony:信頼性を取り戻すチャンスだったかも・・・”

  1. Says:

    この意見には共感できます。問題は、アップルが何をしたか(値下げとクーポンによる返金)ではなく、どうやったか(苦情に対応したのか/ユーザーの反応を予想して苦情が来る前にアナウンスするのか)であるということですね。
    ドタバタする Jobs は見たくない。前代未聞の値下げをするのはいいが(特に、まだ iPhone を入手していないわれわれにとっては)、いつものように、もっとスマートにやってくれ!

  2. やすひこ Says:

    信頼性云々に付いては、そう考えるのが一般的だと思いますよ。
    今回の一連の措置はアップルにのみ、また得意先企業ではない一般ユーザーに対してのみ許される手法だと思います。
    ブランド力やカリスマを持たない企業では、信用や信頼を失うのが恐くてとても出来そうにありません。そんな企業では商品券など配っても文句を言われてしまいます。

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