知られざる iPhone 物語

Iphone Debut

Wired マガジンが iPhone 開発秘話を載せて話題になっている。

情報の出所については触れていないがなかなかおもしろい。

Jobs の試作機却下に縮み上がる話だとか、部屋に閉じ込められたプロダクトマネージャの話など裏話的なものもあるが、モトローラとの共同開発が失敗したことから、アップルが携帯電話本体に手をつけるように変わっていくところが興味深い。

個人的にはつぎの二つが特におもしろかった。

Wired Magazine: “The Untold Story: How the iPhone Blew Up the Wireless Industry” by Fred Vogelstein: 09 January 2008 [Issue  16.02]

     *     *     *

タッチスクリーンダブレットも開発していた

Jobs には自信を持つ理由があった。アップルのハードウェアエンジニアたちはかれこれ1年近くタブレット PC 用にタッチスクリーン技術を開発していたが、同様のインターフェイスを電話用にも作れると Jobs を説得していたのだ。

Jobs had reason to be confident. Apple’s hardware engineers had spent about a year working on touchscreen technology for a tablet PC and had convinced him that they could build a similar interface for a phone.

さらに、ARM11 チップが開発されたおかげで、携帯電話用のプロセッサがやっと電話とコンピュータと iPod の機能をすべて備えたデバイスでも動かせるだけ強力になった。

Plus, thanks to the release of the ARM11 chip, cell phone processors were finally fast and efficient enough to power a device that combined the functionality of a phone, a computer, and an iPod.

また、ワイヤレス料金も十分安くなったので、顧客に再販することも可能になった。Virgin のような会社はすでにやっていたことだけれど・・・

And wireless minutes had become cheap enough that Apple could resell them to customers; companies like Virgin were already doing so.

     *     *     *

数日後のマックワールドとの関係で大変気になる点だ。

iPhone 前にタッチスクリーンタブレットが開発されていたのなら、ウワサの小型ノートブック(ウェブ端末)の信憑性はぐんと上がるのではないか・・・

このほか、iPhone プロジェクトのコード名の話も興味深い。

     *     *     *

iPhone の機密保持には極端に気を使った

iPhone の開発を通じ、Jobs は最高レベルの機密保持を図った。iPhone プロジェクトは内部では P2 というコードで呼ばれた。かつて放棄された iPod phone Purple 1 と呼ばれていたので、今回は Purple 2 すなわち P2 というわけ・・・

Through it all, Jobs maintained the highest level of secrecy. Internally, the project was known as P2, short for Purple 2 (the abandoned iPod phone was called Purple 1).

開発チームは細分化され、カリフォルニアのクパチーノキャンパスのあちこちに分散された。アップルの重役が Cingular に出張したときは、Infineon[電話のトランスミッタ製造会社]の社員として登録した。

Teams were split up and scattered across Apple’s Cupertino, California, campus. Whenever Apple executives traveled to Cingular, they registered as employees of Infineon, the company Apple was using to make the phone’s transmitter.

iPhone のハードチームとソフトチームですら別々だった。ハードウェアのエンジニアは偽のソフトを載せた回路で作業し、ソフトのエンジニアは見えないように木箱に入れた回路についてソフトを書いた。

Even the iPhone’s hardware and software teams were kept apart: Hardware engineers worked on circuitry that was loaded with fake software, while software engineers worked off circuit boards sitting in wooden boxes.

Jobs 2007 年1月のマックワールドで iPhone を発表したとき、プロジェクトに携わった上級社員でも iPhone を目にしたのはほんの30人程度だった。

By January 2007, when Jobs announced the iPhone at Macworld, only 30 or so of the most senior people on the project had seen it.

     *     *     *

本来ならばこの話は Steven Levy John Markoff などが書きたかったのではないか。Wired に抜かれて切歯扼腕(せっしやくわん)していそうな気がする。

彼らならばアップル内部の人間に対する詳細なインタビューを踏まえたものになったような気がする・・・

それにしてもなかなかおもしろいので、日本版 Wired あたりからの全文訳出を期待したい。

     *     *     *

参考:

Wired Magazine: “The Untold Story: How the iPhone Blew Up the Wireless Industry” by Fred Vogelstein: 09 January 2008 [Issue  16.02]

Cult of Mac: “The Untold Tale of the iPhone” by David Drupa : 09 January 2008

Electronista: “iPhone’s secrecy, development flips wireless industry“: 09 January 2008

Mac Rumors: “The Origins and Development of the iPhone” by Arnold Kim: 10 January 2008

AppleInsider: “Wired on the untold history of the iPhone“: 10 January 2008

Ars Technica: “Wired tells of the trials and tribulations of iPhone’s birth” by David Chartier: 10 January 2008

CrunchGear: “Amazing article explores iPhone’s history, development: totally worth the read” by Nicholas Deleon: 10 January 2008

Macin’ Blog: “iPhoneの語られなかったストーリー“: 11 January 2008

Technorati Tags: , ,

コメント / トラックバック3件 to “知られざる iPhone 物語”

  1. satomi Says:

    これ私も最初んとこだけ読みました。納期迫ってるってのに全然モノができてなくて、ヒスるジョブズも怖いけど、静かなジョブズはもっとこわい、というとことか、廊下で会えば口げんかでドア乱暴に閉めたら開かなくなってバッドでノブ壊してやっと出られた話とか、けっこう赤裸々で面白かったです。私も全訳求む!

    Shiroさん、TechCrunchのMacWorld2008基調講演、ライブブログお願いできなくて本当に残念です。ご健康回復されましたら是非! お体ご自愛くださいー。 

  2. shiro Says:

    > satomi さん
    これはと思う記事は みなさん目を通しておられるのですね
    そんなこともわきまえず ノコノコ飛びつく自分を恥ずかしく思っています

    ところで MWSF 2008 のライブブログの件 ご期待に添えずお手伝いができず 申し訳ありません
    お申し出をいただいたことだけでも 身に余る光栄ですのに こんな結果となり まこと申し訳なく思っています

    このところ暮から ずっと体調が優れません なんとなくヤマ場を迎えているような気がします

    夜更かしや徹夜は 老体には厳禁です

    そろそろ 限界でしょうか・・・

    それにしても ここしばらくの satomi さんのご活躍には 目を見張っています
    TechCrunch やその他のサイトで(ご自身の Long Tail World 以外でも) 達意の日本語を速射砲のように打ち出す様を拝見していると いやもう脱帽です

    TechCrunch でのライブブログは 時間の関係で リアルタイムでは拝見できませんが そのご成功を心から祈っています

    重ねて ご期待に添えなかったことを お詫びいたします

  3. Macとえいちやin楽天広場 Says:

    知られざるiPhone物語

     こん○○は!!ホイヤーです。本日の更新は 「iPhone開発のスピードについて」と「知られざるiPhone物語」他をご案内いたします。○アンクル・ホイヤーの独り言・・。 今日は ちと …

コメントは受け付けていません。


%d人のブロガーが「いいね」をつけました。